世界で最もイノベーティブな組織の作り方

世界で最もイノベーティブな組織の作り方 (光文社新書)

世界で最もイノベーティブな組織の作り方 (光文社新書)

p32 クレイトン・クリステンセンは、その著書「イノベーションへの解」において「成功のカギは人事部である」と述べています。

p34 イノベーションが発動する本質的なメカニズム
    1「組織風土」−人材の多様性、上下間での風通しのよさ、失敗に寛容な文化
    2「組織構造」−ネットワーク密度、組織における遊びの存在、非線形で柔軟なプロセス
    3「リーダーシップ」

p59 航空機事故の悲惨なイメージが催す認知バイアスにより、われわれは一般に飛行機をとても危険な乗り物だと考えがちですが、実際に事故に遭遇する確率は非常に低いことがわかっています。アメリカの国家運輸安全委員会の調査によると、航空機に乗って死亡事故に遭遇する確率は、0.0009%となっています。一方で、たとえばアメリカ国内において自動車事故で死亡する確率は0.03%となっていますから、飛行機事故で無くなる可能性はその33分の1以下ということになります。

p72 権力格差指標の小さいアメリカで開発された目標管理制度のような仕組みは、部下と上司が対等な立場で交渉の場を持てることを前提にして開発された技法であり、そのような場を上司も部下も居心地の悪いものと感じてしまう権力格差指標の大きな文化圏ではほとんど機能しないだろう」
→日本の権力格差指標は比較的大きい(54)

p77「利発な現場が危機に気づいてリーダーシップを発揮」し、「本来リーダーであるはずの権威が、リーダーシップを発揮できない」という対比構造は、「ダイ・ハード」などハリウッド映画の中に繰り返し現れる構造です。

p79 日本のパニック映画では、「お上」はいつも正しく、パワーがあり、困ったときには助けてくれる存在として描かれているということです。

p99 「聞き耳のリーダーシップ」

p100 「ろうそく問題」

p104 「予告された報酬が内発的動機付けを低下させる」とするデシの論考については、70年代から続いた議論を経てほぼ決着がついていると考えてもらってかまいません。

p111 イノベーションの歴史をひも解くと、この「指令を受けたエリート」対「好奇心に突き動かされた起業家(アントレプレナー)」という戦いの構図がたびたび現れます。そして、多くの場合、本来であればより人的資源、物的資源、経済的資源に恵まれているはずの前者が敗れているんですよね。

p153 「15%ルール」必要条件ではあっても、十分条件ではないということです。

p198 優れたリーダーは「決め方を決める」

p236 多くのリーダーシップに関する論考が不毛な「青年の主張」になりがちなのは、それらの主張が、文脈=コンテキストからリーダーシップを分離し、どのような文脈でも通用する「普遍的な原理」としてそれを捉えているからです。リーダーシップというのは文脈=コンテキストに照らし合わせてみないと有効性の議論ができない大変相対的な概念で、チームメンバーの能力レベルや組織の置かれた状況が違ってくれば有効なリーダーシップのあり方も変わってきます。

p240 フランスの思想家、文学者のアントワーヌ・ド・サン・テグジュペリは「もし船を造りたいのなら、男たちをかき集めて森に行かせ、木を集めさせ、のこぎりで切って厚板を釘で留めさせるのではなく、海へ漕ぎ出したいという情熱を男たちに教えねばならない」

p279「目標管理制度=MBO」の限界。イノベーションは予定調和しない。

p281 イノベーターと呼ばれる人々は何をニンジンにして自らをドライブしているのでしょうか?それは結局のところ「仕事の面白さ」ということになるようです。