p13 「すごいリーダー」という幻想
A・リンカーン、J・F・ケネディ、マーティン・ルーサー・キング牧師、マザー・テレサ、チェ・ゲバラ、マルコムX、リー・クワンユー、マハトマ・ガンジー、ナポレオン・ボナパルト、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、坂本龍馬、西郷南洲、星野仙一
「すごいリーダー」のイメージと「自分には届かない」という意識が私たちの頭を覆ってしまい、思考停止が訪れる。
p31 企業のミドル層を対象にした研修や講演で、私はまず参加者に「あなたにリーダーシップはありますか」と尋ねることにしている。お国柄のせいか、屈託なく挙手する人はまずいない。「ちょっぴりあると思いますか」と問い直すと、今度は一斉に手が挙がる。おそらくそこで手を挙げないと恥ずかしいからだろう。
p46 この説では、リーダーシップはリーダーの中に存在するというよりも、リーダーとフォロワーの間に生じる社会現象であり、ダイナミックなプロセスだ。リーダーの言動を見て、フォロワーの大半がそれをどのように意味づけるかというプロセスの中に、リーダーシップは存在する。リーダーの影響力が行使されるには、フォロワーが「喜んでついてくる」ことが不可欠の条件となる。そう考えると、少し変な言い方になるが、リーダーシップはかなりの程度、フォロワーの側にあるとも言える。
p91 自然人類学者でサルの研究をしている糸魚川直祐先生に話したところ、「人間相手に何をややこしいことをやっているんですか」と笑われた。「サルのリーダーシップは単純です。先頭と中央です」と糸魚川先生は言われた。群れのボスは移動する時には先頭を歩き、みんながリラックスしたり、食事をする時は中央にいる。
p92 リーダーシップはフォロワーを前提とするのではなく、フォロワーを生み出すプロセスだ。だから、もしも、企業経営者が「フォロワーがいなければ、リーダーシップは成り立たない」と言い出したら、すごく甘えた話になる。
p96 「リーダーは創造と変革を扱う」
p111 組織化が組織を破滅に導く
p137 コーチングにはまってしまった人たちの一部には、ともすれば研修会で出会った仲間とコミュニティを作ったりして、その関係の中に身をうずめていく傾向があるような気がする。
p164 アクティブ・ノンアクション「不毛な忙しさ」
p195 何よりもムレニー氏(スイス航空)の肩を押したものが、「やってみなければ、鏡に映った自分の姿を見るの嫌になってしまうだろう」という心の声だった。
p246 ジョーゼフ・ジョーウォースキーによるSynchronicity: The Inner Path of Leadership
p247 ジョーウォースキーは、感情をオープンに表出するようになると、周りの状況のもたらす圧迫からの自由と、志やこだわりをもって自分の人生の目標を追求する自由感じ始めたという。
p253 モティベーションを研究したD・マクレランドによると、人間の欲求には「達成欲求」「パワー(権力)欲求」「親和欲求」の三つがある。
p268 心理学者のデイビッド・ベイカンは、人間には「エージェンティック」な面と「コミューナル」な面の二重性があると説いている。エージェンティックとは、大きな力を背に受けて世界に働きかけ、何かを生み出そうと活動することを意味する。これに対し、コミューナルは、辞書的な意味合いでは共有・親交・交わりを表す。
p274 リーダーシップには暗黒面がある。
p282 ヒトラーもリーダーであるという事実は、リーダーシップの暗黒面を示唆している。