p37 ビジネスは基本的に「問題の発見」と「問題の解消」を組み合わせることによって富を生み出しています。過去の社会において「問題」がたくさんあったということは、ビジネスの規模を規定するボトルネックは「問題の解消」にあったということです。
ビジネスが「問題の発見」と「問題の解決」という組み合わせで成り立っているのであれば、今後のビジネスではボトルネックとなる「問題」をいかに発見し提起するのかがカギになります。
p46 人類学者の丸山真男は『日本文化のかくれた形』の中で、日本人の基本的な態度は「キョロキョロすること」だと指摘しています。いつも、どこか外側に自分のところよりも上位の文化があって、「善いもの」は常に外部からやってくる、という基本的態度です。
p49 イノベーションは課題にはなり得ません。なぜなら課題を解決するための手段がイノベーションだからです。
p55 野球のアナロジーで考えてみれば、バッターが打席に入った際に狙うのは、まず何よりも「ヒットを出て塁に出る」ということ、数学的な表現を借りれば「得点の期待値を上げる」とういことでしかありません。
>いきなり場外ホームランは打てない
p72 非連続な変化に対して、専門家の予測というのは「原理的に外れるのが当たり前だ」ということです。
p82 資本と比べた労働に固有の性質は、価値の可変性にある。 加護野忠男『経営の精神』
p83 一般的な人材アセスメントではコンピテンシーを測定するインタビューや360度評価を通じて対象となる個人の能力を数値化し、その結果に基づいて登用・育成・配置の意思決定を行います。このアプローチは極めてアメリカ的であり、非常に合理的に聞こえるかもしれませんが、それこそ「浅知恵」というべきであり、非常に大きな問題を内包しています。決定的なのは、人間が発揮している能力を静的なものとして捉える、その世界観です。
p88 スティーブ・ジョブスはアップルのミッションを尋ねられた際に「人間の知性にとっての自転車をつくる」と答えています。
p105 マル二木工の「HIROSHIMA」
p145 筆者の問題意識をシンプルに記述すれば、「記号の意思決定があまりにも論理偏重に傾くとパフォーマンスは低下する」ということになります。
p166 「わがままこそ最高の美徳」ヘルマン・ヘッセ
p171 自然や人間の本性に合致するかどうか、その決定が「真・善・美」に則るものであるかどうかを重んじる法哲学を自然法主義と呼びます。
p215 イノベーションの歴史を振り返ると、この「命令を受けたエリート」VS「好奇心に突き動かされた起業家」という戦いの構図がたびたび現れます。そして、多くの場合、本来であればより人的資源、物的資源、経済的資源に恵まれていたはずの前者が敗れています。
p250 スピノザは、何が「良いこと」で、何が「悪いこと」なのかを決めるのは、各々にとってのコナトゥス(自分らしい自分で居続けようとするエネルギー)によって決まると考えた。
p269 オストロムの主張を簡単にまとめれば次のようになります。すなわち「動物を放牧する牧草地、漁場、灌漑設備、森林などの共有資源を管理する上で、個人は自らひっ迫した状況にあっても、大抵の場合はコミュニティの利益を個人的な利益よりも優先し、また短期的な状況の改善よりも長期的な共有資源の保全を優先する」
p286 スティーブ・ジョブスは、カリグラフィーの美しさを知っていたからこそ、「なぜ、コンピューターフォントはこんなにも醜いのか?」という問いを持つことができました。あるいはチェ・ゲバラはプラトンが示す理想国家を知っていたからこそ「なぜキューバの状況はこれほどまでに悲惨なのか」という問いをもつことができました。
p332 そもそもリーダーシップは本来、権威によって生まれるものでありません。それは問題意識によって生まれるものです。