日本の持続的成長企業

日本の持続的成長企業 ―「優良+長寿」の企業研究

日本の持続的成長企業 ―「優良+長寿」の企業研究

p37 持続的成長企業が備える三つの組織能力
実行・変革力 「徹底した行動とたゆまぬ自己変革」
知の創出力 「重層的なコミュニケーションや豊かな関係性による知の創出」
ビジョン共有力「ぶれない軸を意味レベルで共有」
持続的成長企業を貫く三対の価値基準
社会使命の重視、しかし経済的価値も同時に追求
共同体意識、しかし健全な競争も共存
長期志向、しかも現実も直視

p73 従業員満足度(ES、Employee Satisfaction)
ESは業績に直接寄与するものではないものの、業績を高める組織能力の要素として不可欠である

p75 「「頑張っていることを誰かが見てくれている」と感じるぬくもりや一体感、仲間意識も欠かせない。つまずいたときに知恵を出してくれたり、元気づけてくれたりする人がいる組織にしていく」

p78 社内の掲示板に掲載されたアイデアは「ウィキペディア」のように、別の社員がコメントを加えてブラッシュアップする。その上で、シスコ社内のベンチャー投資のプロが、目利きして判断を下す。すでに1000件以上のアイデアが、世界90カ国から提案され、三つのアイデアがコンテストで選ばれ、事業化が始まっているという。

p109 「会社の実体は社員。社員以外に会社という実在物はない。会社の実力を突き詰めれば社員の実力の集積値だ。社員を鍛え、活性化する。社員同士が切磋琢磨して、運命共同体意識を持ちながら、活性化して同じ目的に向かって走る。それが日本では終身雇用という形に集約されてきた。困難な経営環境の時ほど運命共同体意識で団結した少数生部隊の方が、報酬を最大の動機づけに集合離散する組織よりはるかに強い。キャノンの競争力の源泉もまさにこの部分にある」キャノン御手洗冨士夫

p127 本来魅力があるから実行したはずの仕事であっても、金銭的報酬が与えられると、行動の理由が自分ではなく他者からもたらせたことになり、自分の行動が自分の行動が自分で自由に選択したと感じられなくなってしまい、モチベーションも満足も低下してしまうというのである。

p169 組織を大企業病から解放したり、環境変化に対応したりするための組織体制や人材配置の手法は、部課制の廃止、組織のフラット化、タスクフォースやマトリックス組織の導入、部門を越えたローテーションなど、さまざまである。しかし、例えばホンダの元社長である川本信彦氏がある時期、ワイガヤを廃止し、トップダウン的な組織を強化したように、危機に対して官僚的な組織体制が有効な場合もあるのである。

p176 「その人たちはあんまり声を大にしてモノをいうわけではないけれども、会社を支えてくれるもっとも重要な中核なんですね。その人たちが元気かどうかというのが一つの、経営的に大事な視点です」アルバック 中村久三会長

p180 「仕事中はもちろん、昼ごはんのとき、トイレの時も話をする。自分から積極的に担当者に会いに行く。“無駄話”はすごく大切で、その中に本質が隠れていることも多い。職制に応じて命令を待つのではなく、自ら”ヨコ”にも仲間を求めてつながる。新しい価値はそこから生まれてくる」

p201 例えば、このEVAを改善する方法の最初の項目に書かれているのは「家で必要な家庭用製品は、花王のものを買いましょう」