赤い高粱

赤い高粱 (岩波現代文庫)

赤い高粱 (岩波現代文庫)

翻訳の限界と日本兵の描写でなかなか進まなかったがやっと読了。
張競という方(明治大学教授とある)の解説で何となく納得。やはり優れた作品なのだろう。
(以下引用)
むき出しの生の意志と赤裸々な本能が、生命の輝きとして飾らずに描き上げられているからだ。粗暴を装う筆致は、原始的な欲望をすくい上げるには、ぴったりの技巧であった。救いようのない卑猥さも、目を覆いたくなるような暴力も、命の賛歌の変奏としてかなでられている以上、この題材を巧みにさばく作家の力量に感服せざるを得ない。動物界の共食いを思わせるような苛烈さが、人間的な営みの一部として見せつけられたとき、わたしは極度の非理性を見つめる、作家の洞察力に打ちのめされた。